空気や酸素などのガス化剤を用いて、石炭を乾留・還元反応によりH2やCOを主成分とするガスに分解し、それを燃料にガスタービンを駆動して、さらに排熱で蒸気タービンを駆動する複合発電のこと。システム構成は、石炭前処理装置、ガス化装置、ガス精製装置、ガスタービン/蒸気タービン複合発電装置に大別される。ガス化炉で石炭を不完全燃焼によって可燃性ガスに転換したガス燃料は、ガス精製装置によってクリーンなガスにされ、ガスタービンの燃焼器で燃焼される。ガス化炉は、その構造から固定床式(fixed bed)、流動床式(fluidized bed)、噴流床式(entrained bed)に分けられる。固定床式と流動床式は、化学工業や都市ガス製造用に既に実用化されている技術であり、最近は、発電用のガス化炉としても実用化に向けた開発が進んでいる。日本では、大容量化と出力を変化させる運動能力に優れた加圧型噴流床式のガス化複合発電の開発が推進されている。石炭ガス化複合発電の特長は、高い熱効率だけでなく、SOxやNOxの排出量を少なくし、かつ高温のガス化反応によりガラス状になった石炭灰を建設資材に有効に利用できるなど、環境問題の改善にある。また最近は、二酸化炭素回収技術を併設することで、地球温暖化を抑制する技術として開発が期待されている。