石炭をガス化して得られる燃料から燃料電池とガスタービンを駆動し、さらに、その際の排熱を利用して水蒸気を発生させて蒸気タービンを駆動する、トリプル複合発電。石炭ガス化複合発電(IGCC)のさらなる高効率化を目指した発電技術である。実現すれば55%以上の高効率発電となり、CO2排出量も既設の石炭火力発電と比較して最大30%低減することが見込まれる。燃料電池には、高温で作動する溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)か固体酸化物形燃料電池(SOFC)の利用が期待されている。日本で開発が進んでいる「多目的石炭ガス製造技術開発(EAGLE)」は、ガス化炉は1室で旋回流による2段階のガス化で、ガス化剤には酸素を使用している。燃料電池には溶融炭酸塩形燃料電池を採用しており、高効率の次世代石炭発電技術として期待されている。しかし、商用化には安価で信頼性の高い燃料電池の開発が不可欠であり、現時点ではまだ乗り越えるべき課題も数多い。