海洋エネルギー技術の一つで、波のエネルギーを利用して発電するシステム。波力の単位時間あたりのエネルギーである出力は、規則的な海洋波では波高の二乗と波周期に比例する。不規則な波の場合は、いろいろな周期の規則波を重ね合わせたものとなる。波の資源量は膨大であるが、エネルギーへの変換が可能と考えられる波高は1~3メートルで、波長は20±10メートル程度とされる。波の出力は、場所や時間によって大きく変動するため、自然環境や気象状況を考慮して効率的に変換する工夫が必要になる。変換方法は、設置方式から装置を海面または海中に浮遊させる「浮体式」と、沖合または沿岸に固定する「固定式」に分かれる。
波のエネルギーを電気に変換するには、いったん可動物体や振動水柱の仕事に一次変換し、その仕事によって二次変換装置である油圧装置や空気タービンを駆動して発電機から電気を得ることになる。「可動物体型」は、浮体である可動物体の異なる運転モード(上下運動、回転運動、連成運動、連結浮体運動)を利用して仕事に変換する。「振動水柱型」は、波力により振動する海水の運動から空気流を作って空気タービンを駆動する。日本で開発されてきた発電装置は振動水柱型が多く、最大出力30~60Wの小型装置が航路標識用ブイとして世界で広く使われている。
最近は、波のエネルギー密度が高い沖合に設置して、波を受けて傾いた円盤が元に戻る力を利用した「ジャイロ式」、海面上フロート(浮体物)の上下運動を滑車によって回転運動に変換する「つるべ式」、人工筋肉の原理を利用して波の力で高分子膜をゆがませ静電気を発生させる「EPAM(electroactive polymer artificial muscle)式」など、従来とは異なる方式が開発されている。