親から子へ伝えられていく生物のさまざまな性質を形質といい、この形質を作りあげるための設計図にあたるものを遺伝子(ジーン)、1個の生物を作るのに必要な最小限の遺伝子セットをゲノムという。ヒトの場合、父から約30億塩基対(→「遺伝暗号」)の1ゲノム、母から、同じく約30億対の1ゲノムを受け継ぐ。生物の遺伝子の実体は、細胞の核にあるDNAであり、遺伝子の情報はそのDNA上に並ぶ核酸構成成分の一つである塩基の配列順序により決まる。このDNAの塩基配列はいったんRNAに写し取られ(転写)、そのあとでたんぱく質が合成(翻訳)され、遺伝子が発現する(セントラルドグマ central dogma)。