ゲノム(genome)が細胞内の全遺伝子(gene+ome)を指すように、メタボロームは細胞内の酵素たんぱく質が生成する全代謝産物(metabolite+ome)を表現している。ゲノミクス(genomics)がゲノムの解析を指すように、メタボロミクス(metabolomics)はメタボロームの網羅的な解析を指している。細胞内には多種多様な代謝産物が存在しており、その解析を効率よく行う手法として、日本人のノーベル賞受賞で注目された質量分析やNMRなどの機器分析がある。現在、枯草菌などの微生物やシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)などの植物での研究が進んでいて、網羅的な全代謝産物の解析から、システムとしての生体を理解するための有用な情報が得られると期待されている。