iPS細胞の応用の一つに新薬を開発する創薬のツールとしての活用法がある。新薬は候補物質の中からスクリーニング(ふるいわけ)によって選択され、臨床試験により、その有効性や副作用を明確にすることで承認される。このスクリーニングにはヒト由来細胞が用いられるが、特に神経、心筋や肝臓の細胞は入手が非常に困難で、これをiPS細胞から分化させて大量に均一な細胞を作ることで、低価格で効率的なスクリーニング法が構築できると考えられている。今後は、iPS細胞から作製された分化細胞が、ヒトから分離されたネイティブ細胞(native cell)と同等であること、さらに個体差を評価する方法の確立が望まれる。