研究室や細胞バンクなどで用いられる細胞凍結法(cryopreservation)は、細胞懸濁液にジメチルスルホキシド(DMSO)などの凍結保護剤を添加し、フリーザーの中で凍結する緩慢凍結法(slow freezing)と呼ばれている。しかし、凍結に弱いヒトES細胞やiPS細胞、受精卵などにはガラス化凍結法が用いられる。緩慢凍結法は保護剤を浸透させ、細胞外に氷晶を形成させることにより脱水・濃縮し、緩慢に冷却させるが、ガラス化凍結法は保護剤を浸透させた後、ガラス化液を投入することで短時間に細胞が脱水・濃縮され、この状態で凍結しても氷晶を形成しないので、液体窒素で瞬時に凍結できる。いずれの方法でも保護剤と脱水が必要であるが、それはネムリユスリカに見られる、特に脱水を極端に行って、無代謝の状態で長期間の乾燥や有機溶媒、放射線に対しても耐性を示すクリプトビオシス(cryptobiosis)という能力に共通している。