iPS細胞は、体細胞に3~4個の遺伝子を導入し、再プログラム化(初期化)して作製する。その中間段階に出現するのがiRS細胞で、京都大学再生医科学研究所の多田高准教授らのグループがこの細胞株の樹立に成功した。iRS細胞は、iPS細胞と形態が区別でき、数十継代の維持培養が可能であるために、ゲノム編集等の遺伝子改変(genetic modification)やクローン化(cloning)が容易にでき、さらに、培養条件を変えることで再プログラム化を再開させてiPS細胞を作製できる。iPS細胞の作製効率が0.01%以下と非常に低いことやクローン化が困難であったため、iPS細胞の遺伝子を改変して疾患モデル細胞を作製することや病態解明へ利用することが難しかったが、iRS細胞ではそれらを容易に実現でき、研究開発が格段に進むと期待されている。