過去の人為活動によって損なわれた自然の機能を取り戻すために行われる事業。狭義には釧路湿原など、2003年1月に施行された自然再生推進法に基づく環境省所轄の事業だが、農林水産省や国土交通省や地方自治体などが、独自に進める事業も多数ある。上記法に基づく事業では、事業実施者が地域住民、専門家、環境行政機関、NPOなどとともに協議会を設置して全体構想を作成し、これに基づいて事業を実施する。すなわち、環境影響評価法と異なり、構想段階からの利害関係者の合意形成が担保される。しかし、公共事業による新たな開発という批判もあり、また協議会が紛糾する例もある。復元生態学(restoration ecology)の発展により、自然再生には自然の回復力(resilience)を生かし、最低限の人為を加える受動的復元、仮説検証型で説明責任をともなう順応的管理などの理念が定着しつつある。