自動車や燃焼炉等から排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物は、大気中で紫外線によって光化学反応を起こし、酸化性物質(光化学オキシダント)や浮遊粒子状物質(エアロゾル)を生じる。この現象、あるいはこれらから生じたスモッグ状態のことを光化学スモッグという。光化学オキシダントの環境基準値は1時間値0.06ppm以下。2006年度の環境基準達成は測定局1170 (1184)のうち、2(3)局のみと低い。年平均値は近年漸増傾向にある(かっこ内は04年度)。1時間値で0.12 ppmを超える状態が継続すると予想された場合には光化学オキシダント注意報が発せられる。07年度の注意報・警報の発令延べ日数は220 (177)日で(25都府県合計)、大都市だけでなく周辺域に広がり、関東ブロックだけで125日となっている。原因となるVOCとNOxが改善傾向にあるため、大陸からの移流、対流圏オゾンの増加、NOxとVOCの濃度比の変化、ヒートアイランド現象などが、悪化の原因として取りざたされている。環境省では、光化学オキシダント被害防止のため、大気汚染物質広域監視システムとして、愛称・そらまめ君により、リアルタイムで全国から情報収集を行っている。