環境問題を的確に理解し、判断する能力。リテラシーとは読み書き能力のことで、科学リテラシーとは科学的な知識を理解し、証拠に基づく結論を導き出す能力のこと。
環境問題においては、気候変動などの事態の深刻さと確からしさの二つの側面を理解し、判断する必要がある。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、2007年になってようやく温暖化を事実として断定したが、その対策の必要性は1992年の気候変動枠組み条約採択時に合意されていた。アル・ゴア著「不都合な真実」(講談社刊)の書名にもあるように、都合のよい情報をつなぎ合わせても正確な判断はできない。この本の内容自体にさえ、たとえば海面上昇6メートルというのは不正確であるなどの批判がある。大局観を左右する誤りと比較的ささいな誤りを区別し、的確な総合判断を行うことがたいせつである。過剰反応も軽視も適当ではなく、また対策を取る場合でもその根拠が実証されているとは限らないこと、最適な対策でなくても、必要に応じ後からでも正せる順応性をもつことが重要である。