2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を控えて、日本の生物多様性を評価した報告書。地球規模生物多様性概況(Global Biodiversity Outlook)の日本版である。06年に、10年までに「生物多様性喪失の速度を顕著に遅くする」という10年目標が合意されている。地球温暖化については、平均気温や温室効果ガス(GHG)の排出量という比較的明確な指標があり、GHG排出量の各国目標が05年の京都議定書で合意され、その貸し借りを行う排出量取引という市場も形成されつつある。
それに対して、生物多様性条約は、他の国際条約と比べて具体的な達成指標をもっていないといわれる。そこで、10年目標の達成状況を評価するために、さまざまな指標が提案されている 。すなわち、絶滅危惧種の掲載状況など生物多様性そのもの、生態フットプリント(Ecological footprint)など持続可能性、窒素負荷量など脅威要因、食料と薬品の生物多様性など生態系サービス、各地方言語人口など伝統知の実践、資源利用とその利益の公正・衡平な配分(ABS)、生物多様性保全に向けた取り組みなどを指標化する試みが進んでいる。