野生動物個体群の存続や保全、農林水産業被害など人間との軋轢の調整を目標とするために、野生動物の生息地と個体群を管理すること。以前は土地開発による生息地縮小と乱獲が大きな問題だったが、近年では過剰増加による人間との軋轢(あつれき)も大きな問題となっている。そのためには、乱獲か禁猟かではなく、持続的な利用のもと、「人間と野生動物との緊張関係のある共存」が重視される。たとえば、サルやクマは人馴れすると脅威となり、駆除せざるを得なくなる。
2008年に鳥獣被害防止特措法が施行され、シカ、クマ、サルなどの個体数調査が進められている。しかし、野生鳥獣の個体数は推定困難であり、しばしば過小推定されており増減の傾向がある程度わかれば、捕獲数を調節して適正個体数に誘導することは可能である。これを順応的管理といい、国際捕鯨委員会の改定管理方式を手本として、エゾシカ保護管理計画などに導入された。保護管理のためには、個体数調整、生息地管理、農林業被害対策などが重要な政策要素である。