自然の生態系が人間にもたらすさまざまな自然の恵みの総称。国連が進めたミレニアム生態系評価(MEA)で使われて普及した。自然の恵みは、生態系の物質循環などの機能は光合成による有機物生産などの基盤サービス、食料、木材、繊維などの供給サービス、干潟による内湾海水の浄化や訪花昆虫による農産物の結実などの調整サービス、観光資源や祭祀(さいし)に用いられる文化的サービスに分けられる。
MEAでは、生態系を壊すことにより、それらのサービスがどのように損なわれ、それが人間の福利をどのように喪失させるかを分析している。その経済価値を評価する場合、供給サービスの多くは市場で取引されるが、調整サービスや文化サービスの多くは市場で取引されず、これらが失われることは外部不経済となる。その価値を評価することは困難であり、不確実性を伴うが、全サービスの価値は供給サービスの価値よりけた違いに多いことが定説となっている。