開発などによる生物多様性への影響を緩和するために、ある場所の影響をほかの場所を保護することで相殺(offset)すること。また、環境負荷を与える事業者がすでに保全した別の場所を購入する生物多様性バンキング(biodiversity banking)という制度も欧米では普及しつつある。温室効果ガスについては普及しつつあり、たとえば飛行機を使うと乗客が相当分の炭素排出量を相殺する植林等の事業のためのお金を、航空料金とは別に任意で払う制度としてカーボンオフセット(carbon offsets)があるが、これと異なるのはたとえばシロクマの生息地をつぶしてパンダの生息地を増やしても、解決にならないことである。つまり、全体として単一の「通貨」がない。しかし、ある湿地をつぶして別の湿地を増やすなど、代償可能と考えられるものがオフセットの対象となる。そして、全体としてノーネットロス(no net loss)を目指す。日本の環境影響評価では、実行可能な範囲で影響を極力なくすということしか記述されず、その検証手段が不明確なため、有効な保全策がとられていないし、オフセット制度のような経済的インセンティブが働かないという批判がある。