日本化学工業協会が2011年4月に開始した化学物質管理の自主的取り組み。化学物質製造者団体の国際的組織、International Council of Chemical Associations (ICCA)が推進するプロダクト・スチュワードシップ(各企業が製品の環境影響削減責任を負うとする考え方)に基づくグローバル・プロダクト戦略(各企業がサプライチェーン全体を通して化学物質のリスクを最小化するために、リスク評価と適正な管理を実施し、それら情報を公開する自主的取り組み)に対応したもの。ICCAのウェブサイトでは既に多くの製品情報が入手可能だが英語であるため、JIPSでは日本語で提供する。
ヨーロッパにおける化学物質管理制度のREACHが製品に含まれるすべての化学物質情報を求めるため、サプライチェーン全体で化学物質情報の共有が必要になることに対応するものであるが、日本の化学メーカーはリスク情報の公開に抵抗感があり、情報収集が進むかが課題。他方、将来はリスク情報が性能や価格以外でのセールスポイントとなる可能性がある。類似の取り組みとしては、379社・団体が参加する化学物質情報伝達のための業界横断組織、アーティクルマネジメント推進協議会(Joint Article Management Promotion-consortium)が、アーティクル(部品や成形品)が含有する化学物質等の情報をサプライチェーンの中で円滑に開示・伝達するために作ったJAMPがある。