水銀の一次採掘の禁止から貿易、水銀添加製品や製造工程での水銀利用、大気への排出や水・土壌への放出、水銀廃棄物に係る規則に至るまで、水銀が健康や環境に与えるリスクを低減するための包括的な規制を定めた条約。水俣病の歴史と教訓を世界に伝え、悲劇を繰り返さないとの決意から、日本は本条約の成立に取り組み、条約名に水俣の文言が使われた。2009年、国連環境計画(UNEP)の管理理事会で、国際的な水銀の管理に関して法的拘束力のある条約を制定するための政府間交渉の開始と、政府間交渉委員会(INC)の設置を合意した。交渉は10年に始まり、13年1月ジュネーブでの水銀条約政府間交渉委員会において、水銀に関する条約の条文案を合意した。そして同年10月に熊本市で外交会議が開催され、「水銀に関する水俣条約(水俣条約)」として条約の採択および署名がなされた。50カ国が締結した日から90日後に発効することになっている。日本では、12年度には、年間約90トンの水銀が廃棄物等から回収され、その大半が輸出されているが、将来、輸出ができなくなると見込まれる。