生物に対する化学物質等の影響試験で、複数の用量段階で動物への影響を観察したとき、有害あるいは無害を含め、影響が認められない最高の用量を無影響量(無影響レベル、無作用量)、影響が認められた最小の用量を最小影響量(最小影響レベル、最小作用量)と呼ぶ。また、有害影響が認められない影響最高用量を無毒性量(NOAEL ; no-observed adverse effect level)、有害影響が認められた最小用量を最小毒性量(LOAEL ; lowest observed adverse effect level)と呼ぶ。いずれも化学物質などの影響評価の基礎となる数値である。これらの値は、実験計画、つまり毒性試験における用量の段階をどのように設定したかに依存し、またNOELとLOELの両方が一つの実験から得られるとは限らないという欠点がある。これらの欠点を補うため、用量反応関係に基づいて導出したBMDL(benchmark dose lower confidence limit)という値をNOELの代わりに採用するなどの方法が提案されている。ちなみにBMDLとは、用量反応関係を曲線近似して算出された5%あるいは10%影響用量(ベンチマーク用量 BMD ; benchmark dose)の95%信頼区間の下限値、つまり安全側の信頼限界値のことをいう。