主に半導体を用いた微小構造で、電子が落ち込みやすい領域(電子にとっての井戸)を設けた構造(量子井戸)、またそれを周期的構造としたもの(人工結晶)。数原子層程度の半導体膜がそれよりバンドギャップの大きい半導体で挟まれたサンドイッチ状の構造をとることが多く、膜でなく線状の半導体が他の半導体で囲まれている場合は量子細線(quantum wire)、点状(箱状)のものが囲まれている場合は量子ドット(quantum dot)もしくは量子箱(quantum box)と呼び、総称的に量子井戸と呼ぶ。それを周期的に多数配置した人工結晶は、自然にある結晶と異なり、エネルギーバンド構造をある程度自由に設計できる。電子のエネルギーバンドのみならず、光のモード(その構造の中で許される振動状態)の制御も可能であって、特にフォトニッククリスタル(photonic crystal フォトニック結晶ともいう)と呼ばれる。これを用いると、普通は制御できない自然放出の大幅な制御が可能であり、また光子の長時間保持の実験も行われている(→「フォトニック結晶」)。