アハラノフ-ボーム効果(AB効果 Aharanov-Bohm effect 電場や磁場がなくてもベクトルポテンシャルがあれば、電子がその影響を受けること)で知られるY.アハラノフが提唱した概念。系の量子状態を特定の初期状態に準備し、最終状態を(一般には初期状態と異なる)特定の終状態に測定された場合のみ選択したとき、その途中で何らかの物理量に対し、弱い測定(weak measurement 測定するものと測定器の相互作用が弱く、それがために1回の測定では不確定性原理由来の低分解能が避けられない量子測定)を施したときに得られる値の平均値。平均値というからには、1回だけの実験では意味をなさない量であり、十分多数回、同一の初期状態に準備し、同一の弱測定を行い、同一の終状態を選択した結果について定義される量である。弱値の意味するところは、現在活発に研究されている。特に、パラドックス的状況において直観との対応がよい概念として注目されている。弱値の実用上の応用として、感度増幅や干渉現象を壊さない「その場観察」への適用が議論されている。