分子間に働く、化学結合よりはるかに小さな力で、分子間力(intermolecular force)ともいう。電荷的に中性で無極性な分子であっても、電子分布は瞬間的には非対称な分布となる場合があり、周りの分子と電気双極子的な相互作用をすることで凝集しようとする力が発生する。このような、力は大変弱いが、質量が小さく、表面の影響が大きくなるナノ材料ではこの力が重要で、ナノ材料の物理吸着や凝集の原因となる。カーボンナノチューブ(CNT)などのナノテク材料を樹脂に均一に混ぜるなど、ナノテク材料を産業に応用する観点からはいかに凝集を抑えるかが重要になる。一方で、ナノテク材料の凝集しやすい特質は、ナノスケール(nm : 10-9m=10億分の1mレベルのスケール)のまま分散して肺などに蓄積することを防ぐ効果もあり、安全上の面からは好都合な点もある。