グラフェンシートが直径0.4~100nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)の円筒状に巻かれたもので、巻き方により導電性が高く金属的な振る舞いをするアームチェア型、半導体的な性質を示すらせん型、ジグザグ型に分類される。チューブの膜の厚さにより、単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube)と多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nanotube)に分けられる。強度が鉄の20倍以上、重さはアルミニウムの半分以下、熱伝導率は銅の3倍以上という優れた特性を有するナノテクの代表的な素材である。CNTは室温でバリスティック伝導を示す可能性があり、低温では超伝導状態になるという報告もある。最近ではCNTの発光特性も確認され、光デバイスへの応用も期待されている。練りこんで帯電防止樹脂、電磁シールド、樹脂の強度改善に用いられる他、ナノチューブ配線、ナノチューブデバイスなどCNTを直接的に使うものも期待されている。CNTの作製にあたっては炭素電極間に高電圧を加え放電させるアーク放電法、触媒を混ぜた炭素にレーザー光を照射するレーザー蒸発法、金属触媒を用いて炭素を含むガスから成長する気相成長法、炭素を含む材料の表面改質などが用いられている。