モルフォチョウ、玉虫、孔雀などに見られる、ナノ構造による発色現象。それ自体が光るのではなく、周囲の光を利用して魅力的な色彩を出す、昔から昆虫などが有する素晴らしい機能。自然が作り上げる三次元的な微細構造が主役で、周期構造の干渉効果が重要な役割を果たすが、傾斜や不均一性が加わることで、見る方向にあまり依存しない、より深みのある光沢が生まれるのが特徴。繊維や化粧品への応用も進んでいる。自然が放つ光の神秘はさらに深く、ニレウスルリアゲハのように反射して輝くだけではなく、光を一度吸収して蛍光を出し、ナノ構造との組み合わせで鮮やかに光るものもある。ナノテクを利用してこれらを模倣し、新しい機能を持たせようとする試みも活発化している。たとえば、ナノロッド(nanorod)などナノ構造を層内に入れ込むことで実効的な層の屈折率を制御することが可能であり、ナノロッドの密度を徐々に変えて屈折率を順次変化させることで、ほとんど反射のないコーティングを実現することができる。周期構造を精密に制御したフォトニック結晶も活発に研究されている。