光の波長に対応した周期構造をnm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)の精度できちんと形成すると、多重反射する光の干渉によって、光に対するバンド構造(band structure)を持つフォトニック結晶ができ、これをうまく用いると、従来の光回路(optical circuit)より小さい寸法でさまざまな機能を持った小型光回路ができる。最近目覚ましく発展しているのが、シリコン(Si)などにナノサイズの穴を平面状に配列した二次元フォトニック結晶。穴の位置やサイズを精密に制御することで、高性能の光導波路、光共振器などが実現されている。異なる導波路を通過する光の遅延時間を自由に制御することも可能になりつつあり、さまざまな分波器や合波器への応用、低消費電力の微小光チップ、光を電気に変換しない光メモリー、光を用いた量子情報処理デバイスへの応用が期待されている。ナノ構造に電子を閉じ込めることにより、通常発光素子に使用することが難しいバンド構造を持った半導体を発光させることも可能になる。たとえば、ナノ構造を持つシリコンでは低温ではあるが、レーザー発振が実現されている。製造の難しさからほとんどのフォトニック結晶は二次元であるが、最近、ナノテクノロジーを駆使した三次元フォトニック結晶も出現している。