光を金属に照射すると、金属表面に電子の振動、プラズモン(plasmon)が励起される。金属薄膜やナノ構造の表面近傍に作られるプラズモンが、金属中を比較的長距離(平面型では数cm、スロット型では数から数十μm〈マイクロメートル μは10-6=100万分の1〉)伝わることを利用して、光の信号を金属に押し込めて伝送する試みがなされている。スロット型では波長を真空中の10分の1程度に縮めることもできる。波長よりはるかに小さい金や銀のナノ構造を通して光が伝搬することが確認されており、光の回折限界を超えた光デバイスへの道が開かれた。プラズモンを金属ナノ構造に生じさせることで局所的に光強度を増大させることもできるため、表面増強ラマン効果(surface enhanced Raman scattering)などの計測や発光ダイオードの効率化へ向けた取り組みも進められている。約100nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)の石英ナノ粒子を金薄膜で覆い、これに赤外線を照射することでプラズモンを発生させ、ナノ粒子の近傍のみを加熱して、がん治療に役立てる試みもある。