先端がとがった短針「ティップ」を走査して、二次元のナノ(ナノメートル nは10-9=10億分の1)計測を実現する顕微鏡。大気中での観測も可能であり、走査型トンネル顕微鏡(STM ; scanning tunneling microscope)や原子間力顕微鏡(AFM ; atomic force microscope)がある。他に磁性材料のティップを用い磁気力を測る磁気力顕微鏡(MFM ; magnetic force microscope)や、近接場の特徴を生かして波長以下の分解能で光学特性を測定する走査型近接場光学顕微鏡(SNOM ; scanning near-field optical microscope)もある。金属ナノ構造でのプラズモニクスによる光増強を利用してナノスケールの空間分解能を有するラマン分光(入射するレーザー光と放出される光の波長の差から、物質の分子構造を分析する手法)や、ルミネセンス測定(発熱をともなわない発光に基づく測定)が実現されるなど、ナノ構造やナノプローブの特徴を生かして、光をプローブにしながら、従来の光学顕微鏡をはるかにしのぐ性能を実現する試みもある。