ナノ導体でトランジスタ構造を作った場合、クーロンブロッケードにより外部から電極の一つであるゲートに加える電圧(ゲート電圧)を変化させても導体内の電子数が変化できない領域が生じる。なお、ゲート(gate)電極とは、三つの電極をもつ素子(デバイス)のトランジスタ(transistor)において、他の二つの電極であるソース(source)とドレイン(drain)の間を流れようとする電流をせき止めたり流したりする役割をもつ電極のことをさす。一方、ゲート電圧を変えていくと、どこかでナノ導体の電子数が1個ずつ変化する。この条件では、電子が動いてナノ導体に出入りすることができ、電流が流れる。すなわち、ゲート電圧を変化させると、ナノ導体内の電子数が1個変化するたびに周期的に電流ピークが表れる、不思議なトランジスタが作製できる。これが単電子トランジスタであり、ナノ導体中の電子数を1個ずつ制御できることに基づくデバイスである。ナノ導体のサイズが約5 nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)以下になると室温で動作する単電子トランジスタも可能になる。