微細構造での流体制御は、さまざまな検査システム、マイクロファクトリーの観点から関心を集めている。流体制御に不可欠なマイクロバルブ(micro valve)として、光照射により分子構造が変化し収縮する高分子材料を利用した、非接触・光制御バルブが試みられている。疎水性が大きい構造の中には、液体は入っていけない。だが、親水性が強いとスムーズに入っていけるという性質を利用し、疎水性、親水性が電圧で変わる材料とナノ構造を組み合わせることによって、希望のときだけ液体を通すバルブも可能になる。電極と電解液を離しておき、必要なときに電気を作る電池への応用も期待される。レーザー照射で微小な気泡を作り、気泡と液体の表面張力が温度により変化し、表面張力に差があるときに、その差に対応した液体の流れが生じることを利用したマイクロポンプ(micro pump)の新原理も確認された。ナノスケール(nm : 10-9m=10億分の1mレベルのスケール)のチューブ内では、固体、液体、気体の相変化がバルク(一まとまり)の状況とは異なり、相変化を起こす温度、圧力などがチューブの径などにより敏感に変化する特徴もある。