歯の再生に関し、幹細胞を利用した手法と、上皮細胞と間葉細胞の二つの細胞による器官原基作製手法といった異なるアプローチが報告されている。ミニブタを用いた実験では、親知らずの歯根から幹細胞を採取することに成功。歯のエナメル質成分であるハイドロキシアパタイトと組み合わせ、象牙質と歯根膜を有する人工歯根(artificial tooth root)を再生した。また、胎児マウスの歯胚を用いた実験では、歯胚から上皮細胞と間葉細胞を採取し、それぞれの細胞から歯の基となる「種」を作製することに成功。この種を大人のマウスの抜歯部に移植することにより、およそ8割の歯が再生した。内部には血管と神経があることを報告している。近い将来、失った歯も再生できる時代が来るのかもしれない。関連技術として、リン酸カルシウムをもとにプリンターのインクジェット技術を利用した人工骨の形成も報告されており、バイオニックボディー(→「バイオニック医療」)の実現も遠くない。