紙に字や絵を印刷するのにインクジェットプリンターが用いられるが、同様の原理でカーボンナノ材料、シリコン微粒子、導電性有機材料をインクジェットして、これらの材料からなるナノ薄膜や微細構造を作製する技術がナノインクジェット印刷である。単純にナノ印刷と呼ぶ場合もある。軟らかいプラスチックフィルム上に構造を印刷することもできるため、伸縮可能なトランジスタや電気回路を作製できる利点があり、自由な形の高性能電気回路が可能になってきた。最先端の技術を用いると、注入インク量をal(アトリットル aは10-18=100京分の1)の容量で制御することが可能で、1μm(マイクロメートル μは10-6=100万分の1)以下の有機導体の細線構造も形成されている。実現可能な最小サイズの点ではまだ他のナノテクノロジーに及ばないが、安価に大面積描画ができる大きな魅力がある。