グラファイト(graphite 結晶度の高い炭素)をさまざまな方法で酸化するとグラフェンの骨格の周囲に酸素などが付いたカーボン材料を作ることができる。紙のように層状にはがすことができ、グラフェン骨格がもつ強靭(きょうじん)性のため、薄く透明で柔軟な保護膜として期待される。酸化グラフェンペーパーは基本的には絶縁体であるが、グラフェンの骨格がつながる場合には電気を伝えることもできる。酸化グラフェンなどグラフェンの骨格をベースにして、それに酸素やその他の元素が付いたグラフェン複合物(graphene-based composite material)はグラフェンをポリスチレンなどさまざまな材料に分散させたり、化学結合を利用してグラフェンをベースにしたセンサーを作製したりするのに応用できる。酸化グラフェンペーパーの積層構造はグラフェンの層間に柱のように他の元素が挟まった積層構造になるため、単なるグラフェンの積層構造より大量の水素貯蔵能力があることも示唆されている。大面積の酸化グラフェンペーパーは広い面積にわたり高品質グラフェンを作製するためのスタート材料としても期待されている。