一般に光メモリーというと、光ディスクに代表されるように、読み出しや書き込みに光(レーザー光)を使うメモリーを意味することが多いが、光の最小単位である光子をそのまま蓄積する光子蓄積を利用した新世代の光メモリーが登場している。屈折率が光の波長と同程度の寸法で周期的に変調されたフォトニック結晶を用いることで光の伝播速度を大幅に抑制することができ、結果的に光メモリーとして働かせることができる。シリコンを用いたフォトニック結晶では、2ナノ秒(10億分の2秒。光が空気中を60cm先に進むだけの時間)にわたり光を閉じ込められることが示され、化合物半導体を用いたフォトニック結晶では、150ナノ秒以上の光メモリー時間も報告された。フォトニック結晶と導波路の特性を制御することで、空間的に離れた光メモリー間で蓄積された光を相互にやり取りする技術も開発されている。