通常のトランジスタは、シリコンなどの半導体中の電子の流れを、表面に付けたゲートに電圧を加えることで制御するものである。これに対し、半導体をナノスケール(nm : 10-9m=10億分の1mレベルのスケール)の細線にした半導体ナノワイヤを用いると、100nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)以下のワイヤ構造に対して、周りを囲むようにゲートを付けることができる。このような構造では、ゲートに電圧を加えたときの電子が流れるチャンネルの狭窄が三次元的に生じるため、これまでのトランジスタより効率的なゲート動作が実現される。また、ナノワイヤは基板に垂直に成長できるため、これまで横方向に並べていたトランジスタを縦方向に重ねることで集積度を増すこともできる。電子の動きやすさがシリコンより優れている化合物半導体のナノワイヤトランジスタをシリコン上に作製できる点も魅力である。