さまざまな材料について、その直径がナノスケール(nm : 10-9m=10億分の1mレベルのスケール)の細線状になるよう加工したものをナノワイヤという。カーボンナノチューブ(CNT)のような合成法で作られるほか、半導体の結晶成長と金属微粒子触媒を組み合わせることで、細線状の高品質半導体を基板表面に垂直に剣山のように成長させることも行われている。この半導体ナノワイヤでは、通常の層状の結晶成長では組み合わせることが難しい、原子間隔の違いが大きな材料を結晶構造の乱れなしに細線に組み込むこともできる。成長条件によって形状を変化させられ、垂直に伸びた柱状のものをナノロッド(nanorod)、先端が細くなったものをナノペンシル(nanopencil)などと呼ぶ場合もある。途中で枝分かれするような構造も作製されている。これらのナノワイヤを利用したデバイスとして、最近、ナノワイヤ光デバイス(nanowire optical device)やナノワイヤトランジスタ(nanowire transistor)が注目を集めている。基板を使わずに、浮遊するナノ金属粒子から半導体ナノワイヤを成長させる試みも、最近成功を収めている。