生体材料から作られるナノファイバーで、昨今注目を集めている。木の成分であるセルロースから作られたセルロースナノファイバー(cellulose nano-fiber)は、軽量でも鋼鉄の約5倍もの強度をもつ。カニやエビの殻、昆虫類の外皮などにはセルロースと類似した化学構造を有するキチンという物質が構造材料として含まれており、エビやカニの殻など台所から出るゴミを有効利用してキチンナノファイバー(chitin nano-fiber)を分離する試みも行われている。クモなど、糸を作る生物の遺伝子を微生物に組み込み効率的に糸を作らせ、新しい繊維材料と衣料品に応用するビジネスも生まれてきた(→「QMONOS」)。生物由来ナノファイバーは、軽く強い素材として飛行機や自動車の構造材料へ応用される可能性に加え、生体適合性を備えた補強材として、人工血管などの医療応用も期待されている。