一般的に用いられるiPS細胞と異なり、より受精卵の状態に近い初期化した状態の細胞のことを指す。ヒトから樹立されるiPS細胞は、今まで分化能の高くない「プライム型(prime type)」であったため、マウスなどで樹立されている、より未分化な受精卵の状態に近い「ナイーブ型」のiPS細胞が求められていた。
京都大学の中辻憲夫教授や東京大学の中内啓光教授の技術を基に2003年に設立されたリプロセル(REPROCELL)は、新たな培養条件を開発することでこの問題を解決し、ヒトのiPS細胞を培地交換のみでプライム型からナイーブ型に誘導することができる培地「ReproNaive(“i”の“・”は横に2個並べて表記)」の作製に成功した。この培地を利用することで、細胞数が倍になる時間が今までのおよそ半分の14時間程度となり、10日間の培養で、従来の100倍の細胞数を得ることが可能となった。
一方、ナイーブ状態にのみ発現される特殊な遺伝子が存在することも確認されている。