ナノメートル(nm:10-9=10億分の1m)サイズの微細な粒子が気体や液体中に分散している状態をコロイドというが、さまざまな特性をもつコロイド状ナノ結晶(colloidal nano-crystals)を溶液中の化学反応で形成することができる。最近の技術の進歩で、たとえば金属として振る舞う銀、絶縁体として振る舞う酸化アルミニウム、半導体として振る舞うセレン化カドミウムや銅・アンチモン・硫黄などを合成したナノ結晶など、豊富な品ぞろえが実現されている。これらのコロイド状ナノ結晶は室温でいろいろな素材の上に堆積することができ、新しいナノデバイスのビルディングブロックとして注目されている。ナノインクジェット印刷(nano-inkjet printing)と組み合わせることで、プリンターで絵を描くようにデバイスを配置することも可能になる。
通常は従来からのデバイス作製手法である蒸着などと組み合わせて、一部にナノ結晶を用いることが多いが、金属、絶縁体、半導体として振る舞うナノ結晶を組み合わせることで、すべてがナノ結晶でできている電界効果トランジスタがプラスチック上に実現された。安価で大面積にナノ結晶をちりばめることができることから太陽電池への応用も期待されており、微細なナノ結晶の量子閉じ込め効果を利用した量子ドット(電子が閉じ込められた構造)や、コロイド状ナノ結晶の表面積の大きさを利用した表面化学応用も考えられている。