血液中をウイルスなどが泳ぐことにヒントを得て、ナノスケール(10億分の1mスケール)からマイクロスケール(100万分の1mスケール)の微粒子を作り、液体中を制御性よく泳がせる試みが行われている。たとえば、シリコンの柄と二酸化チタンのヘッドをもった、瓶を洗うブラシを微小化したような構造が作られている。この構造では、光によってイオン(電子が過不足した状態)が生じる際に、イオンの分布が柄とヘッドで異なることに由来して、液体中を柄の方を先にして光に向かって進むことが確かめられた。ほかに、微小な磁石をうまく組み込んだ微粒子を作ると、磁場の方向に向かって泳がせることもできる。これらのナノスイマーやマイクロスイマーは、将来的には血液中を外部から指示された方向に進み、薬剤を体内の必要な箇所に運搬するドラッグデリバリーシステムに応用されるほか、ある種の簡単な手術を行う「ナノロボット」「マイクロロボット」として活用できる可能性もある。