細胞培養により臓器として組織化された立体構造体。その取り組み自体は古く、1939年には、発生学者の故・ヨハネス・ホルトフレーター博士が、カエルの胚細胞をバラバラにしても再集合することを示した。近年では、動物実験やヒトの臨床実験に代わる新たな解析技術としてさまざまな試みが行われている。組織や臓器構造をチップ上にモデル化形成するオーガン・オン・チップやボディ・オン・チップなどもそうである。近年では、理化学研究所の故・笹井芳樹教授などによるES細胞を用いた網膜の生成や、京都大学の山中伸弥教授によるiPS細胞を使った小型の腸管や肝臓などの生成も行われている。さらに、脳の人工的な三次元構築による創薬解析も可能となっており、創薬や感染実験による作用解析が容易に実現できる点で極めて有用であるが、その一方で自分の細胞が脳に似た構造になることで拒否反応を示す患者がいることも無視できない。倫理的問題の解決は重要である。