惑星の周りを回る天体を月(衛星)という。月がどのようにして惑星の周りを回る衛星になったのかについてはさまざまな説があり、月起源論と呼ばれている。地球型惑星の月は、地球を周回する月、火星の衛星フォボスとダイモスが知られているが、火星の衛星は直径20km程度の小さいものである。木星型惑星には多数の衛星があるが、それらは大きく規則衛星(regular satellites)と不規則衛星(irregular satellites)に分けられる。規則衛星は木星のガリレオ衛星のように、惑星の赤道面に沿って円軌道を描いて順行しているが、不規則衛星は逆行するものが多く、軌道の形状も円軌道から大きくずれ、軌道面も惑星の赤道面に対し大きく傾斜しているものが多い。規則衛星は惑星を取り巻いた星雲状の物質が集積して形成されたと考えられているが、不規則衛星は、惑星の重力圏に捕獲された天体であると考えられてきた。最近、外部太陽系には二重星(連星系)のように共通重心の周りを公転する小天体が多く発見されている。冥王星とその衛星カロンもそうした連星系の例であると考えられる。海王星の不規則衛星トリトンは大きさや化学組成が冥王星と類似していることから、かつて海王星と冥王星‐カロン連星系に似た連星系が遭遇し、一方がはじき飛ばされ、もう一方が捕獲されて衛星になったとする説が注目されている。地球を周回する月については、地球のマントルとの化学組成の類似性などから、火星サイズの巨大微惑星が地球と衝突して飛び散った物質から月が形成されたとするジャイアント・インパクト説が有力視されている。