地球内部の変動が大規模なプルームの上昇や下降運動に支配されているとする地球像。1990年代に発展した地震トモグラフィーで得られた地球内部の三次元構造の解釈から生まれた概念。現在の地球では、南太平洋とアフリカの下に大規模なマントルの上昇運動があり、スーパープルーム(super plume)と呼ばれている。スーパープルームの上昇によって地表やジオイドは隆起し、周辺に活発な火山活動が起こる。ハワイやアイスランドなどでみられるホットスポットと呼ばれるプレート内部の火山活動の原因は上昇するプルームによるものである。一方、日本列島など太平洋を取り巻くプレートの沈み込み帯では、沈み込んだスラブ(プレート)が660kmの不連続面近傍で塊状になり、間欠的にマントルの底へと沈んでいく。こうしたプルームの上昇や下降運動によって、マントル内部の不均質性が生み出されていく。一方、リソスフェアの底にまで上昇したプルームは、リソスフェアを加熱しマグマを発生させ、場合によってはリソスフェアの分裂による新しい海洋底の拡大を促す。また、プルームの発生によって火山活動が活発化し、火山ガスの蓄積によって気候が温暖化するなど、地球表層環境にも影響を与える。