今から8億年前から6億年前にかけて形成された氷河堆積物は、厚い縞状炭酸塩岩に覆われている。氷河堆積物を直接覆っていることからキャップ・カーボネートと呼ばれている。ストロマトライトのような縞模様が認められるため、温暖な気候下で形成されたものと考えられている。寒冷な気候を示唆する氷河堆積物と温暖な気候を示唆する縞状炭酸塩岩が重なっていることは、寒冷な気候から温暖な気候へジャンプしたことを示唆しており、常識的には理解できない。これは長い間地質学における謎と考えられてきたが、全球凍結仮説(→「全球凍結事件」)によって合理的な説明が与えられるようになった。アフリカのナミビア北部地域やアメリカのデスバレー地域のキャップ・カーボネートには、急激に炭酸塩岩が形成されたことを示唆するクリスタル・ファン構造やガスエスケープ構造という特異な構造が認められており、氷河堆積物を覆う炭酸塩岩は急激に堆積したものと考えられている。