古生代ペルム紀(Permian)と中生代三畳紀(Triassic)の境界。この境界では、生物種の90%以上が絶滅したとされ、地球史における最大の生物絶滅事件であると考えられている。化石記録の詳しい検討によると、ペルム紀末の2億5000万年前の生物大量絶滅より1000万年前のペルム紀後期にも生物絶滅率が高かったことが明らかにされ、古生代末の生物種の激減は2段階で進行したことが示された。この絶滅を探る地層は、西南日本に分布する遠洋性海底堆積物でも発見され、生物大量絶滅期に黒色泥岩が堆積していることから、海洋が無酸素状態になったという仮説(海洋超酸素欠乏事件)が提唱された。その後、中国南部に広く分布する火成岩の年代が生物大量絶滅の時期と対応することが明らかにされ、大規模火山活動が環境激変のきっかけになったとする見解が提案された。さらに、浅海底に堆積した炭酸塩岩の研究からは海洋底のメタンハイドレートが融け出したことが原因であるという主張が出された。こうした地球内部に原因を探る研究だけでなく、宇宙からやってきた天体が衝突して生物大量絶滅が起こったとする研究グループもいて、論争になっている。最近、オーストラリア北西部の海底で、2億5000万年前の衝突構造が発見されたという論文が発表されたが、衝突構造の規模、形成年代が生物大量絶滅期と一致しているかなど、多くの課題が残されている。