細かい石英結晶が集まってできた層状の地層。西南日本の基盤岩を構成する堆積岩中に広く分布している。遠洋深海堆積物であり、放散虫の遺骸が豊富に含まれている。ジュラ紀に日本列島の下に海洋プレートが沈み込み、その上に堆積していた遠洋性の堆積物が付加体に付加して形成された。層状チャートに含まれる放散虫は、進化速度が速く多産することから地層の時代決定に利用された。こうした研究によって、西南日本に古生代後期から中生代にかけての層状チャートが含まれていることが明らかになり、さらに古生代と中生代の境界(P/T境界)付近ではその色は赤みを帯びたものから灰緑色へと変化し、有機質泥岩へと移り変わることが明らかにされた。P/T境界では、海洋無脊椎動物などが一斉に絶滅しているが、有機質泥岩が堆積しているという事実から、その原因として海洋が酸素欠乏状態になったとする仮説が提唱されている。