地球が形成されたころには大気中の酸素濃度は低かったが、地球の歴史を通じて酸素濃度は徐々に増大してきた。現在の大気中の酸素は植物の光合成によるものである。地球大気における酸素濃度の増加の始まりは、光合成生物が出現し、その反応副産物として遊離状態の酸素の発生を始めた時点までさかのぼる。酸素発生をともなう最古の光合成生物は、原核生物であるシアノバクテリア(ラン藻)の仲間と考えられる。化石記録などによると、その出現は27億年前までさかのぼる。シアノバクテリアはマット状に集まり、ストロマトライトと呼ばれる構造物を構築した。一方、光合成によって生み出された酸素は海水中に含まれる鉄イオンと結合して縞状鉄鉱床として沈殿した。大気や海水中の酸素濃度が増加したことが真核生物の出現や多細胞動物の出現を招いたという考え方がある。