鉄分に富んだ鉱物と珪酸からなる石英が細かい縞模様を構成する堆積岩。英語の頭文字をとってBIFと呼ばれることがある。太古代から原生代初期にかけて大規模に形成された化学沈殿作用による地層。鉄分に富んだ鉱物は、当時の海水中に溶けていた鉄イオンがシアノバクテリアが行う光合成の副産物として解放された酸素分子と反応して沈殿してできたと考えられている(→「酸素濃度」)。こうした地層が25億年前ごろから19億年前に大規模に形成されており、この時代に地球表層の酸素が急激に増えたと考えられてきた。19億年以降は、現在まで、ほとんど形成されることはなかったが、原生代後期の氷河堆積物に挟まって、堆積していることが知られている。この縞状鉄鉱床は、地球表面が全面的に凍結した事件の物証であるといわれている(→「全球凍結事件」)。同様の鉄に富んだ地層が火星のメリディアニ平原にも広く分布されているとされ、ローバー探査車オポチュニティーによる探査の優先課題とされた。