地球の歴史で起こった大事件の一つで、大気・海洋中の酸素濃度が急激に上昇した24億年前ごろの出来事を指す。地球が形成されたころの大気組成は、二酸化炭素、窒素、水蒸気が主体であったと考えられており、分子状の酸素は、大気上層での光化学反応で生成されるごくわずかな量しか存在していなかった。生命が発生し、光合成反応による副産物として酸素が発生することで次第に増加してきた。光合成が始まってまもないころは、メタンやアンモニア、海水中の二価の鉄イオンなどの酸化によって使われたため酸素濃度の増加率は低かったが、やがて還元的な物質が乏しくなって、24億年前ごろから急激に増加した。それが大酸化事件をもたらした。24億年前ごろには、大規模な氷河時代があったが、この出来事と関係して、大気中の温室効果ガスであるメタン濃度が急激に下がったためであるという説がある。大酸化事件の証拠としては、世界各地の大規模な縞状鉄鉱床があり、多くのものが24億年前ごろから19億年前に形成された。光合成生物の繁栄を示す証拠には、ストロマトライトが知られている。大酸化事件のあと、地球生命は原核生物から細胞内に核をもつ真核生物へと進化したと考えられている。