6億年前から4億年前にかけての原生代後期から古生代にかけてローレンシア(Laurentia)(北アメリカ)、東ヨーロッパ地塊(バルト楯状地)(Baltica)、アバロニアと呼ばれる小大陸(イギリス、西ヨーロッパの一部)の間にあった海洋のこと。古大西洋(Paleo-Atlantic)ともいう。これらの大陸が次々と衝突してユーラメリカ大陸が形成され消滅した。プレートテクトニクスの成立に多大な貢献をしたカナダの地質学者T.ウイルソンは、イギリス、北欧、北アメリカ東海岸における三葉虫化石の分布に注目。太平洋型三葉虫と大西洋型三葉虫の分布に境界線があることに気づき、二つのグループの三葉虫の地理的な隔離がそこに大きな海洋があったことによると指摘し、古大西洋の存在を示唆した。1億8000万年前ごろにローラシア大陸の分裂が始まり、現在の大西洋が拡大していった。こうしたイアぺタス海の生成と消滅の歴史から、現在の大西洋の両岸に、やがて新たな沈み込み帯ができて消滅へと向かい、新たな超大陸が形成されるという説がある。