首都およびその周辺地域の直下に震源域をもち、首都圏への被害が想定される地震。内閣府・中央防災会議は東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の発生を受けて、プレート境界で発生するマグニチュード(M)8クラスの地震も含めて、首都直下地震として取り扱い、2013年に検討結果をとりまとめた。関東地域のプレート配置は複雑で、太平洋プレートが東から沈み込んでいて、その上に相模沖ではフィリピン海プレートが沈み込んでいる。沈み込む側のフィリピン海プレートは浅い場所に沈み込むため、1923年の大正関東地震(関東大震災)のようなプレート境界で発生する地震だけでなく、プレート内部で発生する地震もM7クラスの被害地震となるという特殊な条件を備えている。200~400年程度の間隔で発生する海溝型地震の間にも、1855年の安政地震や1894年の明治東京地震などの一回り小さい被害地震が多数発生しており、M7クラスの地震発生が高い確率で危惧されている。2004年の地震調査委員会は30年で70%としているが、複数の研究者が東北地方太平洋沖地震の影響で、発生確率は増加したと指摘している。中央防災会議による最悪のシナリオでは、間接被害も含め95兆円の被害を想定しており、現実的な対応が喫緊(きっきん)の課題となっている。