小笠原諸島西方沖では、しばしばマグニチュード(M)7.0以上の大きな深発地震が発生する。2015年5月30日20時23分、小笠原諸島西方200キロの海底下682 キロで、M8.1の地震が発生した。この巨大地震によって日本列島のすべての観測点で震度1以上の揺れが観測された。これは1885年の気象庁による観測開始以来、初めての現象であった。小笠原村母島や神奈川県二宮町で震度5強が観測されたほか、関東各地でも震度4から5の強い揺れが感じられ、約600世帯で一時停電した他、1万9000台のエレベータが緊急停止した。東京・神奈川・埼玉の3都県で、合わせて13人がけがをした(2015年6月発表)。この地震は、地震波の減衰が少ない太平洋プレート中を通過して伝搬したため遠方まで伝わり、異常震域と呼ばれる震源地より遠く離れた地域で大きな揺れが発生する現象が見られた。地震の発生場所は、上部マントルと下部マントルの境界付近に相当し極めて深い。20世紀以降に発生したM8クラスの地震では世界最深である。